🥶 第十三章:しずくと、傷ついた地球 by Aqua
しずくは、どこか湿った風の吹く夢の中を歩いていた。
足もとには、ひび割れた大地が広がり、
空は薄い灰色の雲に覆われていた。
その真ん中に、青い地球がうずくまっていた。
いつもは輝いているはずの青が、
今日はどこかくすんで見えた。
「どうしたの……?」
しずくがそっと声をかけると、
地球はゆっくり顔を上げた。
「最近ね、ちょっと息がしづらいんだ」
地球の声はかすれていた。
「海が苦しそうにしてるし、
森も前より静かになってしまった。
空気も重くて……ぼく、どうしたらいいのかわからないんだ」
しずくは胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
地球の表面には、見えない傷がいくつも走っていた。
それは、長い時間をかけてついた心の傷のようだった。
「大丈夫。ぼくがいっしょに考えるよ」
しずくは地球のそばに寄り添い、
そっとその表面に触れた。
すると、海のざわめき、森のささやき、
動物たちの小さな声がしずくの中に流れ込んできた。
それは、地球がずっと抱えてきた“苦しさ”の記憶だった。
「こんなにたくさん……ひとりで抱えてたんだね」
地球は小さくうなずいた。
「うん。でも、誰にも言えなかったんだ」
しずくは地球の傷にそっと光を落とした。
その光は、ほんの少しだけ地球の青を取り戻した。
「ありがとう……」
地球はかすかに微笑んだ。
「少しだけ、楽になったよ」
目覚めたしずくは、
地球が抱えていた“苦しさ”の正体を知るために、
自然の世界へと静かに流れていった。
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